イーバくんの いー場だな

東京近郊で暮らす中で、改めて感じる茨城への想い

つくばエクスプレスの延伸(TX延伸)は、日本復活の希望の光!

流山、守谷、つくばといった新しい街が人気のつくばエクスプレス(TX)沿線ですが、最近、路線の延伸構想が話題となっています。TX利用者の興味は主に東京側の延伸だと思いますが、「必要性が無い」「採算が取れない」等ネガティブな意見も多い茨城県側の延伸も、構想次第で、首都圏や国の課題解決や発展に繋がる可能性を秘めていると思っています。
今回、このテーマについて考えてみたいと思います。

TXの茨城県内延伸に関する動き

茨城県では以前より、TXの延伸先として①筑波山方面②水戸方面③茨城空港方面④土浦方面の4つを構想として挙げていましたが、2022年度に県がTXの県内延伸について調査・検討の事業費を予算化したことから、県内各地でTX延伸に関する動きが活発化しました。先の4候補のうち①の筑波山方面以外に関しては、それぞれ促進協議会が発足しています。
県では既に第三者委員会を設置し、今年3月までには延伸先を決定するとしています。

www.nhk.or.jp

TXの茨城県内延伸先の考察

茨城県内各エリアで延伸に向けた活動が展開されていますが、個々の地域単独では延伸の訴求力が小さいことから、県としては複数エリアを組み合わせた延伸先を検討すると考えられます。
現在、延伸促進活動が行われている土浦、茨城空港、水戸の3拠点については、地理的に比較的スムーズな形で一本に結ぶことが可能であり、また拠点都市と空港間の接続による波及効果も大きくなることから、これらを結ぶルートが選定されるのではないかと想定しました。(このルートは、霞ヶ浦涸沼といった観光資源を結ぶ効果もあるかも知れません)
一方で、延伸距離が長くなれば、当然かかる費用も大きくなるため、最終形は示す一方で、一度に全ルートの実現を目指すのではなく、段階的な延伸計画とするのが現実的と考えます。
ちなみに、図中の各拠点間の所要時間は、現在のTXの秋葉原~つくば間(58.3km)の所要時間45分というデータを使って試算してみたものです。仮に水戸や土浦から空港まで鉄道で16~17分で移動できるとしたら、空港へのアクセス時間の短さは、国内ではトップクラスになると思われます。

 

つくばエクスプレス 茨城県内延伸ルート(推定)

TX延伸による効果

仮に上記のルートでTX延伸が実現した場合に考えられる、主な効果を挙げてみます。

STEP1:つくば→土浦延伸

TX沿線-JR沿線エリア間の鉄道移動が可能に

これまでつくば~土浦間は車での移動が主でした。鉄道で移動できるようになれば、車を運転できない高齢者や学生等に加え、移動に公共交通機関を使用しなければならない企業の従業員等の、TX沿線ーJR常磐線沿線エリア間の移動が飛躍的に楽になります。

つくば~土浦間の移動時間の大幅短縮

現在、つくば~土浦間はバスで30分程度かかっていますが、これが7分程度になるとすれば、大幅な移動時間の短縮となり、両エリア間の移動、ひいては経済活動等が活発化することが想定されます。ちなみに、つくば~土浦間は自家用車でも20分弱程度の時間がかかるため、より速い鉄道の利用が進めば、渋滞や環境負荷低減にも繋がる可能性があります。

TX-JRの相互バックアップ性の向上

TXとJRが結ばれることになれば、緊急時の相互バックアップ性も向上します。例えば、JR常磐線で東京に通勤している人の帰宅時にJRが一部運行停止になった場合、TX経由で鉄道で帰宅できる可能性が高まると思います。逆に、つくば在住の人が、TXが運行停止した場合に、東京から常磐線で土浦経由で帰宅することも可能になりますね。

STEP2:土浦→茨城空港延伸

TX、JR沿線エリアから空港への利便性向上、時間短縮

これまで茨城空港には鉄道が通っておらず、車やバスで行くしかありませんでしたが、鉄道が乗り入れることにより、つくばや土浦から楽に、かつ短時間で空港に行けるようになります。逆に、空港からつくば市等への移動も格段にスムーズになります。

茨城空港の利用需要増

鉄道で直接茨城空港に乗り入れられるようになれば、茨城空港の利便性が高まり、空港利用者の需要が増加します。また需要の増加により茨城空港からの行き先や便数が増加すれば、さらに利用者が増加するという好循環が生まれることが想定されます。

茨城空港周辺エリアの地域ポテンシャル向上

茨城空港周辺エリアは主に農業地帯となっていますが、高速鉄道が通ることにより、様々な産業や機関の立地に適したエリアとなり、居住人口、交流人口も増加することが想定されます。TX延伸エリアの居住人口、交流人口が増加すれば、鉄道利用の需要が増加し、TXだけでなく既存のJR線の鉄道需要増加にも寄与すると思われます。

STEP3:茨城空港→水戸延伸

県央、県北エリアの地域価値向上

新幹線のルートから外れている茨城県央から県北エリアは、地域間競争的にも不利であり人口が減少しています。ただ、空港まで鉄道で短時間で結ばれることになれば地域価値が向上し、衰退している水戸や日立等の都市の活力復活に寄与することが見込まれます。

県央、県北エリアの観光来訪者増加

多くの観光資源を有しながら、知名度や交通利便性の低さから、観光イメージの低い茨城県ですが、水戸や大洗、ひたちなかといった県央エリアの観光地が空港から鉄道で短時間で行けることになり、全国からの観光客の来訪が増加することが見込まれます。特に、ひたちなか海浜鉄道ひたち海浜公園まで延伸する計画となっており、今や一大観光地となったひたち海浜公園にも空港から鉄道で行くことが可能となります。また、袋田の滝などの県北エリアにも空港から鉄道で行けるようになるので、利用客の減少が著しいJR水郡線の活性化にも繋がる可能性があります。

鉄道空白エリアの利便性向上

鉄道空白地帯である小美玉市茨城町等の交通利便性が向上すると共に、鉄道駅から遠い水戸市南部エリアに移転してしまった茨城県庁のそばに駅が設けられれば、県内各地や東京方面から茨城県庁へのアクセスも飛躍的に向上します。

茨城空港周辺エリアの将来構想の重要性

TX延伸の効果について考えられるものを挙げましたが、あくまで想定ルートは、現状は人口の少ない農業エリアであり、TX延伸による人口増加が想定されるとしても、事業費が回収できるかと問われれば、厳しいというのが実情ではないかと思われます。
TX延伸において必要なのは、特に茨城空港周辺エリアが将来どのような役割を担うのか、将来図を描くことではないでしょうか。TX延伸が、単なる一地域の話ではなく、首都圏、あるいは国の課題解決や発展を担うという大義が必要なのではないでしょうか。
このエリアは様々な実現可能性を秘めており、いろいろな構想が考えられると思いますが、ひとまず私案としていくつか挙げたいと思います。

茨城空港周辺エリアの将来構想(私案)

首都機能の移転

一時期盛り上がっていた首都機能移転の話は頓挫してしまっていますが、東京の一極集中是正や災害時対応力強化の課題は、今も残ったままです。東京から距離があり、空港や高速道路もあるこのエリアが高速鉄道で結ばれれば、首都機能移転の候補地としても、高い適性を備えることになると思います。
勿論、移転するのは首都機能の一部にはなると思いますが、これは一地域の課題ではなく、国レベルの課題への対応という意義に繋がると思います。

次世代産業の集積

東京、つくばとこのエリアが鉄道で結ばれれば、産業拠点としての魅力も高まるでしょう。特に、研究開発拠点のつくばに近いこのエリアは、先端産業の集積地として好適と思います。
先日、つくばに研究開発拠点を設けた半導体世界最大手のTSMCが第二工場の建設を検討中とのニュースがありましたが、つくばに近く土地が豊富なこのエリアは、まさに適しているのではないでしょうか。
また、霞ヶ浦上空にドローンを使った物流網の構築を模索する事業等も進められており、広い空間を有するこのエリアは、様々な新産業を興し日本の今後の発展を担うエリアとなる適性を秘めていると思います。

新たなスタイルの居住エリア

TXの延伸で、このエリアが東京から1時間強で結ばれることになれば、移住先としての魅力も高まることでしょう。特に近年はリモートワークの普及により、東京から離れた自然豊かな地域に移住する人が増えています。
特に茨城空港の近辺は霞ヶ浦などの水辺や自然が豊富なので、移住だけでなく、二拠点居住、ワーケーション施設、アウトドア施設など、交流人口を増やすエリアとしても魅力を有しており、それが鉄道利用の需要にも繋がることと思います。

国と連携した推進で、日本復活の起爆剤に!

TXの茨城県内延伸について、いろいろ考えたことを記してきましたが、TX延伸の話は東京側でも動いています。TXについては秋葉原から東京駅への延伸構想がありますが、その先には、臨海地下鉄での臨海副都心への接続、さらには羽田空港アクセス線による羽田空港への接続構想が繋がっています。
先にも書いた通り、TX延伸は一地域の話ではなく、首都圏、あるいは国の課題解決や発展にも繋がる可能性を秘めています。東京の北東方面は、首都圏の中でも発展の遅れたエリアではありますが、逆に首都圏で大きな絵を描くことのできる最後のキャンバスだと思います。
自治体同士で会話を纏めるのは難しいと思われますが、国のレベルに関わる事業として、国と連携して大きなビジョンを描き、この一大事業を実現していただきたいと思います。長らく停滞している日本のこれからのために!

TX延伸構想(私案)の全体概要図