イーバくんの いー場だな

東京近郊で暮らす中で、改めて感じる茨城への想い

「都道府県魅力度ランキング」は日本の地域差別の縮図【茨城県がまたも最下位!】

今年も毎年恒例の「都道府県魅力度ランキング」が発表されました。そして茨城県がまたも最下位に!PR活動を積極的にやってて15年で12回も最下位を取るなんて、1位を取るより難しいのでは・・・?笑
しかしこのランキングのなぜか最下位の争いを、毎年マスメディアが大々的に娯楽コンテンツ的に報じていることは、「地域差別」やいじめ・ハラスメントに繋がってると以前より感じており、盛り上がっているところ誠に申し訳ないですが、今回は敢えて疑問を呈したいと思います。

 

疑問のある「都道府県魅力度ランキング」調査

都道府県魅力度ランキング」は、ブランド総合研究所という会社が「地域ブランド調査」として毎年実施している、インターネットアンケート調査の結果の一部です。
ブランド総合研究所という会社は、三菱総合研究所野村総合研究所のような名の通った大手シンクタンクではありませんが、そんなことはどうでもいいですね。
※ちなみにブランド総合研究所は、栃木県、埼玉県などのブランド関連委員もしているとのこと
 会社概要|ブランド総合研究所


ただ、この調査にはいくつか疑問点があるのです。

ネットアンケート回答者の詳細が不明

今年のインターネットアンケートでは約3万人の有効回答を集めたとのこと。回答者はあらかじめ調査モニターとして登録されている人から抽出されているようですが、多数の人からランダムに選定しているのか、登録している人のうち回答してくれた人の分を集計しているのか等、回答者の詳細情報については不明です。(インターネットアンケートとのことですが、調査モニターの登録方法、調査への応募方法等、インターネット上では情報不明)
もし、回答者が毎年同じような人たちばかりだったとすれば、調査結果も毎年あまり変わりませんよね。
ランキング1位は、調査開始からずっと15年連続変わらずで北海道。2位の京都、3位の沖縄という順位もほとんど毎年変わりません。また、4位以降に東京、大阪、福岡、神奈川といった都市部の都道府県が並んでいるのもほぼ変わっていません。たまに、沖縄や京都が北海道を上回るようなことがあっても不思議ではない気がするんですが・・・。
最下位グループも、北関東3県に埼玉県、佐賀県といった感じで毎年ほぼ同じ。
メディアは毎年、「トップ10にランクインした都道府県の顔ぶれは同じ」とか「下位グループの顔ぶれも例年とほとんど変わらず」と報道していますが、この結果を不思議には思わないのでしょうか。
この調査報告書を購入すれば、もっと詳細が記載されているのかも知れませんが、さすがに個人では買えません・・・。汗

5段階評価のうち2段階しかカウントしていない

「魅力度」の評価方法は、

提示した地域名に対して「どの程度魅力的に思うか」を質問し「とても魅力的」から「まったく魅力的でない」までの5段階評価で回答してもらい、そのうち「とても魅力的」と「やや魅力的」と各地域を「魅力的」と回答した回答者割合のみを反映し、それぞれ選択肢に付与した点数(重み)を加重平均したもの。

  魅力度=100点×「とても魅力的」回答者割合 + 50点×「やや魅力的」回答者割合

とのこと。5段階で評価するなら、それぞれの段階に重みづけをして集計するという方法が一般的だと思うのですが、この調査は5段階で回答させていますが上の2段階しか集計していないのです。
つまり、「魅力的でない」という回答については、一切、結果から排除されているのです。よくメディアでも「茨城県は魅力度が低い」と語っている人がいますが、そもそもこの調査結果は「魅力的」と思われているかどうかの集計なのであって、ランキング下位の地域を見て「魅力度が低い」と笑いのネタにする使い方は間違っている、ということを理解いただきたいと思います。(「魅力が把握されていない」という言い方であれば間違いではないかも知れません)

news.tiiki.jp

そもそも何の魅力度の評価なのか曖昧

そもそも「魅力的に思うか」というざっくりとした質問は、何の魅力を対象としているのかは明確でなく曖昧です。回答する人も、「自分の地元だから」とか「オシャレなイメージだから」とか「推しがいるから」とか、様々な思いでこの質問に回答することと思います。
メディアでは、このランキングを主に観光の魅力として使っている印象が強いですが、そもそも何の魅力度なのかはっきりしないので、結果を受け取る側の解釈と、回答している側が考えた「魅力度」のイメージは全く一致しないと思います。
地域ブランド調査では、「魅力度」以外に、「認知度」「居住意欲度」「観光意欲度」「食品想起率」等の設問が設けられているので、調査結果を活用するなら、こちらのより具体的な調査結果を使う方が明らかに有効と思えます。
でも、都道府県というデカい主語で「魅力的」「魅力的でない」とレッテルを貼って、みんなで面白がって盛り上がるようなコンテンツを作るには、この「魅力度」という調査結果はとても「都合がいい」のでしょうね。

最近は、この「都道府県魅力度ランキング」に懐疑的な意見もSNSでは数多く見かけます。ただ、個人的にはこの調査自体よりも、それを利用して地域差別的なコンテンツを作成し発信している多数のメディアの方が大きな問題だと感じています。

 

日本テレビのバラエティ番組と連動した「北関東最下位争い」の演出

今年の都道府県魅力度ランキングは、ブランド総合研究所から10/13に上位20位までが公表されました。
そして翌日の10/14に、日本テレビのTV番組「世界一受けたい授業!」で全順位が初めて発表され、ブランド総合研究所のHPも更新されて全順位が表示されました。
でも、実は「世界一受けたい授業!」の予告では、既に9/30に「熱き戦いを繰り広げる北関東 群馬 栃木 茨城!今年の順位はどうなる?」と記載されていたのです。

www.ntv.co.jp

また10/14の番組では、栃木県代表のU字工事茨城県代表のカミナリといったお笑いタレントの現地取材映像が流れましたので、相当前から、この2時間スペシャルで都道府県魅力度ランキングの「北関東最下位争い」を目玉ネタとすることで番組が企画・制作されていたことは間違いないでしょう。
このバラエティ番組の場で初めて下位の都道府県の順位を公表し、しかも北関東の最下位争いが目玉ネタとして組まれていたということであれば、これは純粋な地域ランキングと言うより、そもそも視聴率を取るための「地方いじり」コンテンツを作るのが主目的で、正しい調査よりも、狙ったストーリーを作るために都合のいい調査としてこれを使っていると疑われても仕方ないと思います。
番組内でも、先生として招かれたブランド総合研究所社長の田中氏が、茨城県について、つくば市の人口がずっと増え続けているという話をしていましたが、人口増加という明らかな地域魅力の証しがあるのに、それが全く結果に反映されないという調査について、関係者の誰も疑問を抱かないのでしょうか。
また「世界一受けたい授業」という、多くの子供たちも視聴する教養番組で、疑問のある調査結果を、あたかも正しい各都道府県の魅力度のように授業して解説することに、番組の関係者は誰も倫理的に問題を感じなかったのでしょうか。
スポーツにしてもゲームにしても、ランキング上位の人達をみんなの前で称えるのが人として一般的な行為だと思います。全国放送の番組で、ランキング最下位に着目して楽しむというのは、社会貢献を目的とする企業としてはもとより、多くの子どもが見ているところで真っ当な大人がする行為ではないように思うのですが、いかがでしょうか。

www.ntv.co.jp

※ちなみに、10/14の「世界一受けたい授業」の直後の21時からは、ブランド総合研究所とVTuber企業が連携して「Vといっしょに学ぶ都道府県魅力講座」というイベントが開催されていました。(あ、茨城県公認Vtuber「茨ひより」は出てません・・・)

prtimes.jp

 

日本にまだ希薄な「地域ハラスメント」意識

大手メディア的には、「北関東のライバル争い」というコンテンツは、首都圏の多数の人が楽しめるネタとして視聴率が稼げるという思いがあるのでしょう。
首都圏では埼玉県vs千葉県、東京都内では多摩地区、23区内に入れば足立区のように、どこに行ってもメディアやSNSで決まってイジられる対象となっている地域がありますが、北関東の争いネタであれば、首都圏4400万人の多数派の人達は、高みの見物で楽しめますからね。(実際にはそれが楽しいと思わない人も多いとは思いますが・・・)
でも、そういうコンテンツを企画・制作する人たちは、最下位争いのネタにされる地域の人達の気持ちを考えたことはないのでしょうか。
小学校の頃、クラスの中のごく一部の子が、多数の生徒からイジメの対象になっていたことを思い出す人もいるのではないでしょうか。多数派の人達が、一部少数の人を馬鹿にして楽しむ行為は、小学校のイジメと同様の行為と言えると思います。また、人が嫌だと感じることをする行為は、いわゆるハラスメントです。セクハラやパワハラについては、テレビ番組等でも意識が高まってきましたが、特定の居住地域の人を差別・馬鹿にする行為については、まだセーフという意識がメディアにはあるようです。一般的な企業であれば、他人を侮辱するような内容を社外で発信することは、コンプライアンスチェックでまず通らないと思うのですが、日本テレビのような大手メディアにそのような仕組みは無いのでしょうか。また、社内におかしいと声を上げる人は誰もいないのでしょうか・・・。
茨城県民の中には「魅力度ランキング最下位でもいい」と言っている人もいますし、メディアからすれば、ネタとして取り上げれば地域のアピールになるんだからいいだろう、という思いもあるのかも知れません。ただ、だからと言って、特定地域をディスるようなコンテンツを制作・発信する行為が、果たして人として恥ずかしくない行為と言えるのでしょうか。
もう少しネタにされる地域に住んでいる方々の立場にも立って、物事を考えて欲しいと思います。また、地方の人達が苦労して生産した農産物や肉・魚などによって、都会の人たちの日々の豊かな生活が支えられているということも、忘れないで欲しいと思います。(かなり説教じみた文章になってしまいましたが、誰かから言われない限り、大の大人として恥ずかしいことをしていることに気付かないのかも知れないと思った次第です)

赤信号みんなで渡れば怖くない」の日本のメディアに良心はあるか

世界一受けたい授業」が放映された翌日には、大手の報道メディアから、右へ倣えとばかりに、「都道府県魅力度ランキング」の記事が躍りました。一部のリンクを貼付しますが、みな1位の県ではなく、なぜか最下位の茨城県を記事のタイトルにしているものばかりです。

都道府県の魅力度ランク 茨城県は最下位の47位|NHK 茨城県のニュース

茨城県が「魅力度ランキング」最下位、過去15年で12度目 : 読売新聞

茨城県“魅力度ランク”最下位 過去15年で12度目 県民「悲しい」「最下位バンザイ」

「魅力度」茨城が再び最下位 佐賀と入れ替わり―民間調査:時事ドットコム

【Japan Data】PRベタなの? 茨城県が12回目の最下位―魅力度ランキング : トップは北海道が15回連続(nippon.com) - Yahoo!ニュース

「最下位バンザイ?」 茨城“魅力度ランク”2年ぶり最下位で自虐炸裂 | ABEMA TIMES

大手の報道メディアであれば、記事にした相手から反発を受けそうな内容のものには慎重になるのが当たり前と思われます。しかし、日本テレビが大々的に特定地域の最下位ネタを放映しているので、「赤信号みんなで渡れば怖くない」とばかりに、安心して最下位の県のことをニュース記事として配信しているということなのでしょう。
特定の地域をバラエティ番組の笑いのネタとする日本テレビは勿論ですが、それを「他社がやっているからいいだろう」という安易な意識でニュースとして発信してしまう他のメディアも、本当に自分たちは倫理的に正しいことをしているのか、そして正しい情報を発信しているのか、改めて省みていただきたいと思います。この2つは、情報を発信するメディアとして、そして社会貢献を目的とする企業として、最低限守らなければいけない責任なのではないでしょうか。

【10/26追記】東洋経済ONLINEに、10/25付で「さまざまなデータや現状を見る限り、茨城県が魅力度最下位とはとても言えないのではないだろうか」と、「毎年恒例の某魅力度ランキング」に疑問を呈する記事が掲載されました。
経済系のメディアを含め、これまではみな一様に「都道府県魅力度ランキング」の結果を疑うことなく報道していたことを考えると、それに疑問を呈するメディアが現れたことは健全なことだと考えます。今後も、メディア業界の横並びの慣習を打ち破り、「都道府県魅力度ランキング」に対して独自の検証や見解を示したり、具体的なファクトデータを用いた地域魅力度指標を打ち出すようなメディアが出てくることに期待します。

news.yahoo.co.jp

茨城県はこのまま黙認していていいのか

この「都道府県魅力度ランキング」の調査内容や結果については、過去に北関東の群馬県や栃木県の知事が激怒していますが、茨城県の大井川知事は「痛くも痒くもない」とクールな対応を示しています。一見、大人の対応でカッコいいのですが、このランキング結果がマスコミによって毎年拡散され、茨城県の魅力度が本当に低いという誤った意識が広く人々に定着してしまうと、茨城に住む人たちの心情面への影響はもとより、県への観光客や移住者、ひいては企業移転等にも影響し、茨城の地域経済にも悪影響を与える可能性も考えられます。
また、大人の中にはもはや「魅力度ランキングなんて最下位でもいい」と冷めた見方をしている人も多いかも知れませんが、生まれた場所を選べない子供たちが、地元に対する愛着を持てず悲しみを感じたり、将来、学生や社会人として都会に出た時に、出身地でイジられるというストレスに悩むことも考えられます。(SNS上では「魅力度最下位など気にせず、それを逆に売りにすればいい」的な発言を多く見かけますが、匿名SNSでは、それを県民が言っているのかは分かりませんし、かなり他人事な意見だと感じます)
そういった広範な影響を考慮すると、マスメディアの発信内容が違っていると思われるのであれば、きちんと内容を分析し、おかしいものはおかしいと声を上げるべきではないでしょうか。(残念ながら、今のマスメディアは「反撃してこないから、イジっても大丈夫」と思ってしまうような大人気ない存在なのです・・・)
2020年には、都道府県魅力度ランキングで最下位となった栃木県の福田富一知事が、ブランド総合研究所に乗り込み、調査方法の改善を申し入れています。(ちなみに栃木県は、今年の魅力度ランキングでは39位まで上昇しています)
また2021年には群馬県山本一太知事が、都道府県魅力度ランキングについて「いじめにつながる」「笑い飛ばせばいい、ジョークで返すのが大人だというのは強者の論理だ」と不快感を露わにし、法的措置も含めて対応を検討すると表明しました。また翌年2022年には、「都道府県魅力度ランキング検証報告書」も発表しています。ただ、SNSでは「大人気ない」等の意見が多数見受けられ、あまり世間から広く共感を得ることはできなかったように見えます。これは、対象を都道府県魅力度ランキングの調査自体にフォーカスしていて、報告書の内容が一般には難解だったのと、様々ある民間調査の1つに対し県の知事が噛みついたことが大人気ないと判断されたのではないかと推察します。
むしろ訴えるべき対象は、調査会社よりも、この調査結果を使って特定地域を辱めるようなエンタメを展開している、マスメディアなのではないでしょうか。

メディアの理不尽な行為に国民が気付く日が来る

【10/22追記】今年10/20の茨城県の知事定例記者会見で、記者から都道府県魅力度ランキング最下位となったことについて質問された大井川知事は、「魅力度ランキング自体についてのコメントはする必要はないのかなと。ランキングというよりは、今や日本テレビを中心としたエンターテインメントになってきていると思います」と回答しています。
例年通り都道府県魅力度ランキングについてはクールな回答を示した大井川知事ですが、注目すべきは、これが「日本テレビを中心としたエンタメになってきている」と、魅力度ランキング最下位をエンタメにしている日本テレビを名指しして、チクリと釘を刺したことです。

www.pref.ibaraki.jp


今回の大井川茨城県知事の発言は、調査会社よりも、その結果を使って特定地域を笑いのネタにしている日本テレビに矛先を向けたものであり、今回はあまりメディアでは取り上げられていないものの、今後、国民や県民の共感を得られる可能性は十分にあるのではないかと考えます。

この大井川知事の発言については、翌日10/21に、読売新聞オンラインが記事として取り上げていました。
ただ、この記事をよく見ると、大井川知事は記者会見で「今や日本テレビを中心としたエンターテインメントになってきている」と回答しているのに対し、読売新聞の記事は「ランキングというより今や(テレビの)エンターテインメントになっている」と、「日本テレビ」を「(テレビ)」に書き換えているのです。
発言通り記事に書かないということは、同じ読売グループの日本テレビがやましいことをしている、という責任の認識はあるのかも知れませんね。
ただ、そのように小手先の隠蔽をしていても、そのうち多くの国民が、メディアの理不尽な行為に気付き、声を上げる可能性はあると思います。
今後もメディアがこのような地域いじりを続けるようであれば、自治体からだけでなく、地域の住民や番組の視聴者から、BPO(放送倫理・番組向上機構)などへ訴えられる可能性もあると、メディアは認識しておいた方が良いのではないでしょうか。

www.yomiuri.co.jp

茨城県の地域プロモーションの仕方にも問題点はある

ただ、またも魅力度最下位となった茨城県にも、今回のランキング結果を踏まえて反省すべき点もあると感じています。
時事ドットコムの記事には、茨城県について、ブランド総合研究所の田中社長の「観光面の魅力が十分伝わっていない」とのコメントが記されています。

www.jiji.com

茨城県は10月から、一大観光キャンペーン「茨城デスティネーションキャンペーン」を開始し、大々的な観光PRを行っています。でも、10月に入って大々的なPRで目にしたのは、茨城の観光をPRするヤンキーのポスターや、80歳を超えたタレントを女王としたPRイベント。
茨城県自身が、過去にPR広告でヤンキーをアピールしていたこともあり、「茨城と言えばヤンキー」というレッテルが既に定着してしまっていますが、一般世間から見てヤンキーという存在が魅力的に思われるのか、よく考えて欲しいと思います。茨城県の広報でよく出てくる「茨城弁」も、面白さを打ち出したい狙いと思われますが、地域の魅力を感じてもらうよりも、むしろ笑いを取ることが目的になっており、バカにされる対象という地域のイメージを自ら作ってしまってはいないでしょうか。
人が魅力を感じるベースとなるものは「美」だと思います。「田舎臭い」「ダサい」「昭和のまま」といった自虐的なアピールは、一時の笑いは取れても魅力向上には繋がらず、むしろ県のイメージを下げ、県内各地の人たちの頑張りを帳消しにしてしまってはいないでしょうか。

参考までに、ダイヤモンド・オンラインの記事では、都道府県魅力度ランキングで伸び幅上昇1位の愛知県について、ジブリパーク開設に加え、将棋棋士藤井聡太さんの功績が著しい点が、ブランド総合研究所の田中社長のコメントとして挙げられています。新たなテーマパークに加えて、藤井聡太さんという「人」が、県の魅力度を大きくアップさせたということです。

diamond.jp

茨城県が食や体験を観光の目玉にしているのはいいと思うのですが、「人」も茨城の大きな資源だと思います。
X(旧Twitter)を始めて分かったことは、茨城県土浦市出身の俳優・三浦春馬さんのファンの方々が、全国から聖地として茨城県を訪れたり、地元のスーパーで茨城産の食品を見かけたら購入したりしているということです。観光PRで、他県の人に茨城県のファンになってもらうことは非常に難しいことだと思いますが、三浦春馬さんという人の魅力が、彼の地元の「茨城県」のファンを多数生んでいるのです。
茨城県は、他にも全国に多くのファンを持つような俳優やタレントをたくさん輩出しており、いばらき大使に任命されている方も多数います。
予算をかけてPRするのであれば、「ウケ」よりも、茨城が生んだ魅力的な方々に地元・茨城を積極的にPRしていただき、県外の多くの人に茨城県の魅力を感じてもらい、「茨城に行ってみたい」と思われるようなプロモーションを考えていただきたいと思います。
※ただ最近は、茨城県や県内市町村のプロモーションで、かなりセンスの良いものも目にすることが増えてきました

ちなみに、あの「ひろゆき」さんも、茨城県の魅力度ランキングがアップするには、「プロモーションの仕方次第」とバッサリ語っていますね!

youtu.be

 

旧来型の価値観からの脱却の時代

夏目漱石の小説「坊ちゃん」でも、先生が左遷させられる土地として、ある西日本の地域がひどく田舎扱いの描かれ方をしていて心が痛んだのを覚えています。昔から日本の都会の人は田舎を軽蔑していたのかも知れません。
ただ、江戸時代や明治時代であれば、都会の人が田舎を馬鹿にしていたとしても、それが直接地方の人に伝わることはありません。でも、現代のマスメディアやSNSの発信は、それが一瞬にして全国に伝わるという影響力の大きさがあります。そして発信内容が伝わるのは、大人だけではなく、子供たちに対してもなのです。生まれ育った地が魅力度が低いと言われた子供たちの悲しみは言うまでもないでしょう。また、影響力のある大人たちが大々的に特定地域を馬鹿にしている姿を見たら、子どもたちもそれが当たり前だと思って育ってしまう恐れがあります。
今や世の中はデジタル社会となり、地方でも都会と同様に生活できます。またリモートワークが主流となり、自然の多い地方での生活を選んで移住する人も増えてきています。
都会に住んでいるということに上流意識・優越感を感じる人はまだ多いと思いますが、リモートワークにより他人と会社で毎日接することが無くなり、人々の価値観は、身近な他人と比較して上になることよりも、自分の幸せを重視する方向に変わりつつあると感じます。
都道府県魅力度ランキングに対するSNSでの反応も、喜びよりも懐疑的な意見が目立つようになってきていると感じます。
このランキングの公表も、もう15年も続いていますが、そろそろテレビや新聞などのマスメディアも、旧来型のコンテンツの継続でなく、人々の価値観の変化に応じてコンテンツの見直しを考えないと、本当に視聴者や読者にそっぽを向かれてしまう時が来るのではないでしょうか。
また視聴者側も、メディアで発信されているコンテンツや情報を単純に受け入れて楽しむばかりでなく、それが正しい情報なのか、またそれが倫理的に正しいのかを良く考えていただきたいと思います。


いかがでしたでしょうか。都道府県魅力度ランキングや、それをバラエティネタにするメディアについて、感じていた疑問を記しました。物事に対する感じ方は人それぞれですので、内容については賛否両論あるかと思います。
ただ、忘れないでいただきたいのは、繰り返しになりますが、住んでいる地域を一括りに魅力が無いと他人から言われ、嫌な思い、辛い思いをしている人たちもいるということです。
日本人は、民度が高く、美しい心を持った民族だと信じています。特定の地域を馬鹿にするような差別意識については、日本のマスメディアから、そして日本人の心から無くなって欲しいと、切に願います。